ナトリウムはむくみの改善する効果が期待できる栄養素です。しかしながら、日本人が取りすぎている成分でもありますので、適量に抑えていくことが必要です。そのためには栄養バランスの取れた食事が重要です。

栄養素とむくみの関係性に詳しい医療関係者である私が
ナトリウムとむくみの関係性について述べます。
・ナトリウムとむくみの関係性が分かる
・ナトリウムの過剰摂取で起きやすい症状が分かる
・ナトリウムとの上手な摂取の仕方が分かる
ナトリウムとは?
ナトリウムが塩分であるということは多くの方がご存じであるかと思います。しかしながら、身体での働きや摂取基準量を理解しているという方は少ないです。
あなたが1日どれくらいのナトリウムを摂取していて基準値と比べてどうなのか、また、現在むくみにお悩みの方は、どのようにすればナトリウムを適量に抑えることができるのかという点に着目してください。
性質・身体での働き
ナトリウムは主要なミネラル成分の1種で体内の水分バランスや血圧に関係している栄養素です。
ミネラルバランスにはマグネシウム、カルシウム、カリウムなどもありますが、ナトリウムについて述べる際に切ることができないのがカリウムです。
ナトリウムとカリウムの2つのミネラル成分のバランスによってむくみが生じることがあるのです。
この原理については後ほど分かりやすく解説致します。
さて、ナトリウムの働きについてですが、上記の他にも二酸化炭素を運んだり消化を促進したりと健康的な身体をつくるのに欠かせない栄養素なのです。
1日の摂取基準量
ナトリウムの摂取基準量を以下に示します。
性別、年齢ごとに基準量が異なりますので、あなた、ご家族が該当する箇所をご覧ください。
ナトリウムの1日の摂取基準量 (単位:mg/日、( )は食塩相当量[g/日])
性別 | 男性 | 女性 | ||
年齢等 | 推定平均必要量 | 目標量 | 推定平均必要量 | 目標量 |
0〜5ヶ月 | ー | ー | ー | ー |
6〜11ヶ月 | ー | ー | ー | ー |
1〜2歳 | ー | (3.0未満) | ー | (3.5未満) |
3〜5歳 | ー | (4.0未満) | ー | (4.5未満) |
6〜7ー | ー | (5.0未満) | ー | (5.5未満) |
8〜9歳 | ー | (5.5未満) | ー | (6.0未満) |
10〜11歳 | ー | (6.5未満) | ー | (7.0未満) |
12〜14歳 | ー | (8.0未満) | ー | (7.0未満) |
15〜17歳 | ー | (8.0未満) | ー | (7.0未満) |
18〜29歳 | 600(1.5) | (8.0未満) | 600(1.5) | (7.0未満) |
30〜49歳 | 600(1.5) | (8.0未満) | 600(1.5) | (7.0未満) |
50〜69歳 | 600(1.5) | (8.0未満) | 600(1.5) | (7.0未満) |
70歳以上 | 600(1.5) | (8.0未満) | 600(1.5) | (7.0未満) |
妊婦 | ー | ー | ||
授乳婦 | ー | ー |
【参考文献:公益財団法人長寿科学振興財団】
男女共に、思春期以降から男性なら8g未満、女性であれば7g未満が推奨されています。
後ほど、レシピをご紹介する際に食材に含まれるナトリウムの量を述べますが、意識しなければ、あっという間に摂取基準量を超えてしまうのです。
ナトリウムに至っては、7〜8g未満が目安であると覚えておくと食事の内容も変わってくるかと思いますよ。
ナトリウムが不足すると?過剰摂取しすぎると?
結論から申しますと、ナトリウムが大きく不足するということはありません。
注意すべきはナトリウムの取りすぎによって起こる副作用です。
・高血圧
・血液をドロドロにする
・生活習慣病になる可能性が高くなってしまう

体内でナトリウムの量が多くなると、細胞の中の水分量が減ってしまいます。

細胞の中の水分量??
そうなるととどのようなことが起こるのですか?
細胞の中の水が減るということは、細胞1つ1つが小さくなり血管の圧が高まります。
つまり、ナトリウムを多く摂取しすぎることによって血圧が上昇するのです。
また、水分量が少ないと血液の流れが悪くなりますからドロドロになってしまいます。
そうなると、脳梗塞や心筋梗塞など重症度の高い病気にかかってしまう可能性があがるのです。
日本人が上記のような生活習慣病にかかる確率が高いと言われているのは、ナトリウムの摂取しすぎによるものである可能性も否定できません。
ただ、だからと言ってナトリウムを摂取しないようにするのも間違いです。
そうすると、体内の水分バランスが乱れて脱水や神経の異常をきたしてしまう可能性も考えられます。

つまり、食生活の改善によってナトリウムを取りすぎてしまった分、少し量を減らして他の栄養素を補ってあげることが大切なのです。
ナトリウムはむくみ、血圧と深い関係性がある
ここでは、ナトリウムとむくみの関係性について述べていきます。
さきほど、述べた血圧の話(血液の流れ)と深い関係性があるため、もう少し掘りさげていきます。
むくみを予防・改善する上で非常に大切なポイントですので、お見逃しのないようにしてくださいね。
ナトリウムとカリウムのバランスが崩れることでむくみを引き起こす
簡単に述べますと、ナトリウムとカリウムのバランスが崩れると、まず体内の水分量に異常をきたします。
その後、下半身を中心(足先やふくらはぎ)に余分な水が溜まりやすくなるのです。
これは、重力の関係上どうしても下半身に血液や水が溜まりやすくなっているのでこれを変えるということはできません。
むくみの原因として長時間同じ姿勢を取り続けることやヒールの長期使用などがありますが、これらはその状態を改善すれば多くの場合むくみが軽快します。
しかしながら、栄養素のバランス不良によって生じたむくみの場合はどうでしょうか?
身体の水分バランスが1日や2日で改善できないということはイメージがつくかと思います。
実際にその通りで、日常的に注意していなければ水分バランスを変えることはできません。

万一、あなたが思い当たる節のないむくみでお悩みの場合、栄養バランスが原因かもしれませんよ。その方は特に食生活の見直しをしてください。
血液の流れが悪くなるとむくみを起こす
ナトリウムを摂取しすぎると血液の流れが悪くなり、生活習慣病のリスクがあがるということを述べました。
実は、このことがむくみと関係しています。
私たちの身体は、心臓から全身に血液を送りまた心臓に戻ってくることで生きることができています。
しかしながら、血液の流れが悪くなると心臓に十分に血液を戻すことができなくなってしまうのです。
特に、水や血液が溜まりやすいふくらかはぎや足先には顕著にその症状があらわれます。
たとえば、足先がパンパンになる(むくみ)や青黒くなる(血液の流れが悪い時にでる症状)などです。
栄養素のバランスが乱れることでこのような症状をきたす可能性があるということを知った時から、改善に向けて動く必要がありますね。
水分と血圧がむくみに関係していた場合、長い目でみて改善を図っていく必要がありますが、食生活をコントロールする、生活習慣を改善するということに注意すれば改善にむけての行動としては問題ありません。

私が担当した患者さんでも、身に覚えのないむくみにお悩みの方はいらっしゃいましたが、上記の2点を改善することでむくみがあらわれなくなりました。
病的が原因でむくみが生じている場合を除き、多くの場合は改善が期待できますので、これから述べる食事の重要性とどのようなものを食べればよいのかという点も要チェックですよ!
ナトリウムを取りすぎないよう、食事をコントロールしよう
栄養の重要性について上記で述べました。
ナトリウムの取りすぎが身体に悪い影響を与えるということをご理解いただけていれば幸いです。
レシピをご紹介する前に、ダメな食生活の例(多くの日本人の現状)を以下に示します。
食の欧米化で日本人はナトリウムの摂取量が多い
ナトリウムを取りすぎている日本人が多い理由として、食の欧米化があります。
ジャンクフードを好む日本人が増加しています。あなたは該当しますか?
明確な理由は分からなくても1度や2度はジャンクフードを取りすぎたら身体に悪いというのを聞いたことはないでしょうか。
実際に多くの医療関係者が注意を促しているのですが、好きな食べ物を控えるというのは非常に難しいことです。
では、ジャンクフードの取りすぎが高血圧の原因となる、むくみの原因となると言い換えたら気持ちが伝わるでしょうか?
ジャンクフードが悪い食べ物と言っているわけではなく、食べすぎはいけないという事をお伝えしたいのです。

某大手チェーン店のバーガー1つで、1日の摂取基準量の約半分のナトリウムが含まれています。
セットを注文したらと考えると恐ろしくなってきますよね。

え・・・
私いつもポテトとセットを注文しています・・・
一時的なものであれば良いのですが、継続的に食べているとナトリウムの取りすぎとなってしまいますので注意してください。
他の栄養素に目を向けることが大切
ジャンクフードを例に挙げましたが、いつも同じものを食べているという方も注意が必要です。
他の栄養素が不足していると、ナトリウムとカリウムの関係のように身体に何らかの異常をきたします。
・栄養バランスを常に意識する
・偏りのある食生活をしない
この2点だけ気を付ければ自然に食生活の乱れはなくなりますのでぜひ覚えておいてくださいね。
ナトリウムを上手に摂取して他の栄養素も吸収しよう
ナトリウムが多く含まれている食材をご紹介します。
もちろん、ナトリウムを取りすぎている方に対してさらに摂取するよう促すわけではなく、ご紹介するのは、他の栄養素が含まれているバランスの取れた簡単レシピです。
ナトリウムが多い食材にはどのようなものがあるのか、バランスの取れた食事をするにはどのような調理をしたら良いのかという点に着目してご覧いただけたらと思います。
適度なしょっぱさが人気の「梅干し」
梅干しを好きという方は多いですよね?
身体が疲れている際に欲しくなるというか方もいらっしゃいます。
しかし、ナトリウム量が多いので使用する梅干しの種類には十分に注意してください。
梅干しには、通常のものと減塩用のものがあり記載されているので一目でわかります。
減塩梅干しがおすすめです。
というのも摂取基準量を目安にした場合、通常の梅干しを食べると4~5個でオーバーします。
驚いた方もいらっしゃると思いますが、事実です。
対して減塩梅干しはナトリウム量が通常の梅干しと比較して約1/5程度なので同じ量を食べても当然差がでますよね。
美容効果も期待できる「味噌」
味噌にもナトリウムが多く含まれていますが、大豆製品は基本的にすべて栄養価が高いので、食べすぎることがなければ健康に良いです。
通常の味噌汁のナトリウム量は約1.2gです。濃さはあなたの好みで調整するかと思いますので、参考程度にしてください。
味噌汁は1日に1杯飲むと健康に良いというのは有名な話ですが、それは味噌の効果を取り入れようということであって決してナトリウムを摂取することを推奨しているわけではないので捉え違いをしないようにしてくださいね。
魚にも多く含まれている
健康食として良く知られている魚にもナトリウムが含まれています。
特に、乾燥させたものはナトリウムが多いので食べすぎには注意が必要です。
しかしながら、その他の栄養素が豊富に含まれているので食べすぎない範囲で上手に摂取していきたいですね。
煮干し
煮干しにはカルシウムやマグネシウム、ビタミン、鉄分など身体をつくる栄養素が豊富に含まれています。
ナトリウムの量でいうと100gあたり約1.7gです。
そこまで高くない数値であるものの、別の食材からもナトリウムを摂取していることを考えると、上手く調理して他の栄養素も一緒に摂っていきたいですね。
しらす干し
しらす干しにはビタミン類が豊富に含まれていることから美容効果が期待できます。
また、カルシウムの含有量も多く骨を強くするのにも役立つ万能な食材です。
しらす干しは、100gあたり約6.6gのナトリウムが含まれており、大さじ1杯で約0.3gの計算です。
しらす干しはサラダに良く合います。トマトにはリコピンが含まれており、美容に対する効果も期待でき、健康を保つ上で是非とも摂取したい成分です。
また、アスパラガスにはルチンという血管を丈夫にする効果の高い成分が豊富に含まれており、動脈硬化の予防にも効果が期待できます。
しらす干しをそのまま食べるとつい食べすぎてしまいますので、他の食材と合わせることで防止しましょう。
たら
たらには、ビタミン類、たんぱく質、ミネラルが豊富に含まれており低カロリーであるため、ダイエット中の方にもおすすめです。
たら1食分で約0.8gのナトリウムが含まれています。
たらが好きという方はそのままお召し上がりいただいても良いですが、他の食材と組み合わせることでさらに栄養価の高いレシピができますよ。
肉類にも豊富なナトリウムが含まれている
肉といっても乾燥させていない豚肉や牛肉はナトリウムをそれほど多くは含んでいません。
乾燥させた肉類(サラミや焼き豚)にはビタミンB12が多く含まれており、貧血の対策や血液の流れ(状態)を良くするのに効果が期待できます。
食べすぎることがなければ、非常に栄養価の高い食材ですので、レシピを上手く活用して摂取していきましょう。
サラミ(乾燥)
サラミには、脂質とナイアシンと呼ばれるビタミンB12の1種である成分が豊富に含まれています。
ナイアシンは、エネルギーを生み出す際に使用される栄養素であるため、積極的に取っていただきたいです。
脂質に関してですが、食べすぎるということがなければ肥満の原因にはなりませんのでご安心ください。脂質も身体を正常に機能させるために必要不可欠な成分ですので適度に摂取しなくてはなりませんよ。
焼き豚
焼き豚には、ビタミン、ミネラル、タンパク質が含まれており栄養価が非常に高いです。
100gあたり約9.3gのナトリウムが含まれているため、多く摂取することは望ましくありません。
まとめ
ナトリウムを適度に摂取することはむくみの予防への効果が期待できますが、取りすぎてしますとむくむ原因となってしまいますので適量を心がけてください。
・むくみを予防するためには、食生活のコントロールが非常に重要である
・料理して栄養満点の食事をしよう
上記を踏まえてむくみに悩まされることのない健康的な生活を送りましょう!